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マブラヴ・オルタネイティブ [ゲーム]

お盆休みももう終盤。私は最後にひとイベントあるので、その前にたまにはゲームネタでも書いておきます。丁度良いタイミングでもあるので。

一応、これから遊ぶ人の事を考えてネタバレには最善の注意を払ったつもりです。その辺は安心してもらって良いかと思います。



実は今年の2月~4月までひたすら遊び続けていたゲームがあります。恐らく、毛嫌いする人もいるジャンルなので、正直ここに書くのは迷う所もあるのですが、誤解を恐れず書く事にします。

そのゲーム名、アージュの「マブラヴ オルタネイティブ」。分類的には18禁ゲームです。おそらくこれ系統に詳しい方の間では有名なソフトなんじゃないでしょうか。

元々、このソフトは前作「マブラヴ」の続編で当初2004年中と発表されていた発売が伝説になる(*1)ほど延びに延びて、ようやく発売されたソフトでした。

私が前作マブラヴを知ったのは、たしかボークスという模型屋さんに戦術機と呼ばれるロボットのモデルが展示してあるのを見て、そのカッコ良さに感動したのが始まりでした。基本的に細身のスタイルで肩や足先などの端点はがっしりしている・・・そう、ファイブスターストーリーに出てくるモーターヘッドに通じるデザインを感じたのです(無論、こっちは昔っから好き)。

で、当時(2003年2月)はこの"戦術機"の活躍を期待してマブラブを買ってみたのですが・・・。色々な意味で宛が外れます。

まず、マブラヴ発売時にシナリオが膨大になりすぎてソフトが2分割された事が発表( ゚Д゚)ポカーン。

次にマブラブの中身は"Extra"シナリオと"Unlimited"シナリオから構成されているのですが、"Extra"シナリオは学園モノ、"Unlimited"が戦術機などの登場するSF調のものとなっています。

となると、SF調目当てで買った私はさっさとExtraは終らせたくなるモノですが・・・実はこれがまた非常に面白かった^^;。

某坂(谷戸坂)。黄色いストラトスなどいない。
前半はギャグ、お笑い系のノリが多くゲームでここまで笑えるんだな、と妙に感心したモノです。ありがちなマニアックなネタを披露して、知ってる人だけを笑わす傾向では無く(全体の方向として。無い訳ではない)、巧妙なキャラの性格付けによる掛け合いで、シナリオの作りの上手さを感じました。

かと思うと後半は一気にシリアスに展開し、そこまでの展開とのギャップで心理的に揺さぶりを掛けられる人も多いのではないかと思います。その展開も決して無理のあるものでは無く、それ以前の笑いのネタだと思っていたものさえ伏線になっていたりします。

正直な所、Extraだけでも普通のアドベンチャーゲーム一本分に間違いなく相当すると思います。多分、ここでエンディングテロップ流れても、あー楽しかったで終ってます、私^^;。

なもので、すっかりご馳走様でしたな気分になってしまった私は戦術機の事も半分どーでもいいやになりかけていた為、少し時間が開いて"Unlimited"の方をプレイしました。

Unlimitedも遊び始めるとExtraとは180度違う雰囲気にずるずると引きずり込まれます。Extraと違い、全般的に緊張したムードが漂い話のスケールも一学園の生徒の範疇を飛び越え大きく展開して行きます。・・・しかしながら、前述の通りマブラヴ自体は完結せずに発売となった為、非常に盛り上がった所で一つの結末を迎えます。当時はこの辺で消化不良の感があり、どちらかというとUnlimitedよりExtraの方が評価が高かった記憶があります。



翌年には発売されるハズだったマブラヴの続編、「マブラヴ・オルタネイティブ(Alternative)」は発売延期を繰り返し、実に3年の時を経て発売されました。

正直、3年も間が開いてしまうとそこまでのシナリオとかはすっかり忘れてしまいそうなモノですが、私の場合は比較的事細かに覚えていました。それだけ印象深かったのかも知れません。

ゲームを始めて最初の4,5時間程、ちょっと戸惑いました。どーにも、前作を遊んでいない人を意識してか、もしくはシナリオを思い出して貰いたかったのか、そんな配慮をしましたというのがアリアリで、記憶が留まっていた私には冗長に感じ、正直「これ、大丈夫か?」と不安になりました^^;。

が。ある点を越えた辺りから見切りをつけたのか、Alternative独自の世界が動き出します。もうこうなると前作を遊んでいない人など話になりません。

断言しますが、マブラヴ・オルタネイティブはマブラヴをやっていない人が買ってはダメです。コンシューマなんかですと続編から遊べるもんですが、一切考慮されていません。素直にマブラヴから遊びましょう。

Alternativeを進めて行くうちに、前作のUnlimitedの存在意義が見えて来ます。正直な所、Alternativeに開発時間を大きく割く事になった関係からか、Unlimitedで展開された内容の価値自体は薄れたのかも知れませんが、存在意義は確立されています。

そしてAlternativeはExtraさえ巻き込んでいきます。この辺りのシナリオの繋がり、個人的には驚愕に値するモノを感じました。この仕込みが本当に3年前から考えていたのなら相当なものだし、後付けで繋げたのなら違和感無くシナリオを埋め込んだその技術はやはり相当なものだと思います。

シナリオそのものについてはここでは触れられない為、ExtraだのAlternativeだの、どうしても抽象的な説明になってしまいましたが、唯一言えるのは、「前作はExtraは面白かったけど、Unlimitedがなぁ・・・」と思われてる方は間違いなくAlternativeを遊んだ方が良いと思います。失った(と思っている)Unlimitedのプレイ時間に意義があった事に気付けるのではないでしょうか。


Alternativeに感じた魅力をつらつらと書いてみます。
某坂2(谷戸坂)。魂の眠る桜の木などない。
まず分かりやすいのがグラフィック面。「マブラヴ」でも頑張っていましたが、事、戦術機による戦闘シーンの表現に関しては相当なレベルです。2D絵でここまでスピーディでシーンの広がりを感じられる表現しているものって類を見ない気がします。BGのスクロールや立体音響なんかがいい味を引き出しているんじゃないでしょうか。

よく見ると立ち絵の使い回しはかなり多いのですが、トリミングなどによるカメラ的表現の変更などにより、プレイ中は殆ど気付かないと思います。先に述べた"必要最小限のコストで最大の効果"はこの辺りにも感じられました。(もっともこの辺りは拡大縮小しても画質の低下を最小限に抑えているシステム面の技術に支えられてる気がします)。

某公園(山下公園)。ポテトを喰う犬などいない。
Unlimitedでは少なめだった戦術機の出番も、Alternativeではそれを取り返すかの如く大量に多機種が登場します。私的には新機種を見る度に垂涎モノでした^^;また、アメリカ軍の戦術機の名称が"F-15E ストライクイーグル"だったり、"F-22A ラプター"だったりするあたり、そっち方面に詳しい方を思わずニヤリとさせる仕込みはチラホラあるようです。

正直な所、2Dでここまで出来るんなら3Dいらないじゃん・・・とか思いました(私がこういう事言っていいのかは微妙な所なのですが^^;)。3Dでのゲームの開発は近年の表現方法の向上とは裏腹にその効率は落ちる一方で開発コストが青天井にかかり気味です。Alternativeを見ていると、ある意味アンチテーゼ的なモノさえ感じます。開発元のAgeって決して大きい会社では無いと思うんですが、限られた人員と機材で考えられる最大限の表現方法を引き出せているのではないかと思います。

もっとも、開発期間が長かった事もあってか、後半では3D的な表現もチョロっと・・・。それに関してもDirectX未使用でよくやるなぁという印象です。あくまでも技術面での評価に過ぎませんが。

戦術機のシーンばかりでは無く、勿論日常シーンもかなり凝った作りになっています。ただ、この凝った作りがあまりにも自然過ぎて、そこに注視しない限りは殆どの人が気付かないんではないでしょうか^^;。

例えば、主人公がある部屋の真ん中に立ち、右手後方の扉から人が入って来た場合、足音は立体音響により右後ろから聞こえてきますし、その人が今度は右手前方の扉へ出て行こうとすれば、一瞬後姿のグラフィックが表示されてから遠ざかる足音と共にフィードアウトして行きます。普通のアドベンチャーゲームなら即出現、即消えです。

キャラクタの表情に関してもかなり手が混んでいると思います。例えばあるキャラが気分を害されたシーンで表情が顔をしかめる表示になる・・・というのは昨今のゲームでは普通にあります。Alternativeではもう少しその単位が細かく一言一言で微妙な変化があり、かなり表情が忙しい感じです。そのお陰で、時に言っている事とは逆に一瞬だけ眉をひそめ、嘘をついているというのがシナリオ進行上の主人公の解説が無くてもプレイヤーが見て分かったりします。

Alternativeではアスペクト比が16:9に変更されています。シーンを見渡せる臨場感を得る為と、登場キャラが大幅に増えたAlternativeにおいては必然だったのかも知れません。開発者のBlog(?)にはVGA入力のある50V型程度の16:9プラズマモニタを推奨します、なんて書いてあったけど確かにそんな環境で見てみたいな、とは思います。勿論、うちにはそんな環境無いので19インチの4:3液晶で遊んでましたが(16:9の支障はこれといって無かったです)。

某丘(港の見える丘)。従者に決断を迫られたりはしない。
サウンド関連に関して。立体音響に関してはグラフィック面と相まってかなりいい効果を得ていると思います。ただ、あまりにも自然過ぎてそれが凄い事と思わないのが難点かな・・・。他のゲームやると物足りなさに気付くという。

BGMに関してはExtra、Unlimitedではポップなものが多かったのに対し、Alternativeではオーケストラ調のかなり重厚長大な雰囲気の曲に傾いた気がします。もっとも、Alternativeで扱っているテーマを考えると、それでマッチしていると思いますが。サントラも出ていたので買ってみた所、あれ?あのシーンの曲が無いような?と思う所があったのですが、しばらくしてVol2が出ました^^;。

特に凄いなと思ったのはボーカル曲で、勿論曲の旋律自体も非常に完成度高いのですが、賞賛すべきはその歌詞。最近のゲームではイメージソングが付いて、その歌詞はゲームとは全然関係なかったりする事が多いですが、マブラヴやマブラヴ・オルタネイティブに収録されているボーカル曲は全て、ゲームの内容そのものを歌っています。かと言って幼稚な単語が並ぶ訳でも無く、高尚な言葉で上手い具合にオブラートに包んでいます。オープニング曲などは最初は何を指しているのかわからなくても、ゲームを進めていくうちにあのフレーズはこの事を指していたのか、と気付く時が来ると思います。まさに、このゲームの為だけのボーカル曲。これは収録されている全てのボーカル曲に通して言えます。


シナリオ面に関して。まず、最初に感じたのはマブラヴ・オルタネイティブでは明確に製作側が伝えたいテーマがあるという事。これは自体が何であるかは、受け手によって解釈の違いがあると思いますし、自分で導き出す事にも意義があると思うので明言は避けます。

ただ、空想的に作り出された世界感の中で妙に媚びたキャラをごちゃごちゃとかき混ぜてシナリオを作るのでは無く、主軸となるテーマとそれを支えるサブテーマを中心に、それを伝えるのに必要であろう世界とキャラを用意し、それらのテーマに対して色々な観点(キャラ)からの答えを出してみる、その行為がシナリオとなっているような気がします。そういう意味で世界とキャラに深い重みがあり、どこも切り捨てられない存在になっています。

某商店街(元町商店街)。しめじはマツタケではない。

また、シナリオ上の主人公の行動は一般的に多くの人が選ぶであろう行動を取る事が多く、ビジュアル面から伝わってくる情報の多さと相まって、自分がそこにあるであろうかのような感覚が強いです。なんとなく主人公(タケル)と同じ心情になってしまっている人も多いのでは無いでしょうか。

キャラを突き動かす元となっているそれぞれのテーマは、当然ゲームの中では重要な要素なのですが、実はこれらはプレイヤーの現実世界に省みても同じ事が言え、ふと気付かされる場合があります。どこぞのイベントで開発者サイドが「大人の教科書」を意識した、と述べていたらしいのでその辺は配慮しているのかも知れません。

ゲームから学べ、なんてクサイ言葉は使う気はありませんが、仮想的な世界での出来事を現実世界での行動時の比較サンプルの一つとして心の隅に留めておく事ぐらいは悪い選択では無いのではないでしょうか。そういう意味でAlternativeが持っているサンプルは多く、ゲームをするという行為が人の限られた生存時間の単なる消費でなくなる事は素晴らしい事だと思います。


マブラヴ・オルタネイティブ発売時、ちょっと問題視された部分もあります。
舞台が未知なる生命体との戦争中という事もあり一部、死の表現に刺激的なものがあります。端的に言ってしまえばグロいCGが出る部分がある、という一言で片付けられてしまいます。ただ、この事自体は個人的にはテーマの一つを考えるとある程度必然であり、避けてしまうのは却って不自然なのかな、という気もしています。まぁ、北斗の拳とか読めるんなら大丈夫なレベルじゃないかと思いますし、箇所も限られているのでダメそうならクリック連打で駆け抜けちゃいましょう。(ただ、個人的にはその後、主人公が徹底的に追い詰められるシナリオの方が精神的にキましたが^^;)

また、18禁ソフトという事でエロシーンも"一応"あります。マブラヴではドラマのベッドシーン程度ですし、オルタネイティブの方は一応相手が相手なのとシナリオ展開が展開なのである程度必然・・・。いずれもウン十時間のプレイ時間のうち10数分程度だと思うのでそっちを本命視する人には向かないソフトです。あくまでもシナリオ進行上の自然なサービス(?)程度に思っておいた方が良いです。


・・・でまぁ、それほど赴きの置かれた部分では無いにしてもグロ&エロの話題はどうしても先行するので人には勧めずらい部分があったのですが、先日正式に全年齢版の発売のアナウンスがありました。どーしても、ダメだという人はそちらを遊んでみるというのもテでしょう。

■全年齢版(2006/09/22発売予定)

全年齢版公式サイト>http://www.muvluv.com/index.html
プレイ時間に関してですが、私の場合は仕事の都合もあって1日1,2時間程しかプレイ出来ず、Alternativeのクリアまでは2ヶ月ほどかかっています。殆ど毎日のように遊んでいたので(この時期は寝る前が楽しみだったなぁ・・(´-ω-`))、おおよそ50~60時間ほどかかってるんではないでしょうか。ゲーム中はおおよそ30分に一回はひと呼吸が入るのでそこでセーブして、日々少しづつ楽しんでいく・・・という連ドラのような楽しみ方をしていました。マブラヴ(Extra+Unlimited)もほぼ同様な感じだったと思います。


9月も見えてきましたし、秋の夜長なんかには合いそうなのですが、まだちょっと気が早いですかね。まぁ興味があったらどうぞ、という事でお勧めしておきます。私、アドベンチャーゲーム好きなので色々やっているつもりですが、その中でも良く出来た作品です。



(*1)...余りにも延期が繰り返された為かGoogleで単純に「延期」で検索すると・・・。(しかも2006年8月現在もなお)
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